『花の絵』

 

『詩』はとてもむずかしい感じがしていました。

わかる人には、きっとわかるんだろうなぁ。

そんな印象でした。

 

友人から詩を紹介してもらえる機会ができて

本よりも、映画やドラマよりも、

とても短い『ものがたり』のようだと、

そんな印象に変わりました。

 

 

読みやすい詩をご紹介します。

 

『花の絵』     谷川俊太郎

 

        「美しい......」と日曜画家

        「一億三千万円です」と画廊

        「下手っぴ!」と子ども

        「ふーむ」と批評家

        「ふん」ともうひとりの批評家

        「破いちまえ!」と前衛画家

        「ダイヤの方がいいわ」とその愛人

        「抑圧された性」と心理学者

        「関係ねえよ」と暴走族

        「美術界の腐敗である」と新聞記者

        「雄しべの数が間違っている」と園芸家

        「言葉は無力だ」と詩人

        「作者の生まれた年は?」と教師

        「あとでギョウザを食べよう」と恋人たち

        「匂いがないわ」とエコロジスト

        「なみあみだぶつ」とお婆さん

        「これこそ文化であります」と政治家

        「栄養にします」とデザイナー

        「私有する気はない」とお金持ち

        「花より団子」と団子屋さん

        「美を定義するのは美だ」と美大生

        「蜜が吸えない」と蜜蜂

        「これが私?」と花

 

        (絵ノムコウニ花ガ見エナイ

         絵ハ壁ノヨウニ目ヲ遮ル

         花ヲ描コウトシテ

         画家ハ絵ヲ描イテシマッタ)