『木』

 

昨日は日記で『木になりたい』

なんて、ちょっと不思議な発言を

.......すみません。

 

 『木』という詩です。

これからやって来る春で、

たくさんの植物の力を

感じていけたらいいですよね。

 

『木』            田村隆一

 

木は黙っているから好きだ

木は歩いたり走ったりしないから好きだ

木は愛とか正義とかわめかないから好きだ

ほんとうにそうか

ほんとうにそうなのか

見る人が見たら

木は囁いているのだ  ゆったりと静かな声で

木は歩いているのだ  空にむかって

木は稲妻のごとく走っているのだ  地の下へ

木はたしかにわめかないが

木は

愛そのものだ  それでなかったら小鳥が飛んできて

枝にとまるはずがない

正義そのものだ  それでなかったら地下水を根から吸いあげて

空にかえすはずがない

若木

老樹

ひとつとして同じ木がない

ひとつとして同じ星の光のなかで

目ざめている木はない

ぼくはきみのことが大好きだ