向上心

 

先日、友人から『「向上心は醜いものである」というのを本で読んだ』

と聞いて興味を持ったので私も早速読んでみました。

だって、普通でしたらそれは“良いもの”とされてますもんねぇ。

 

 

曽野綾子さんの『ほどほどの効用』という本です。

なるほど、読んでみると少し印象が和らぎました。

 

『年をとって体の衰えを感じる頃から勤勉とか向上心とかに対する一種の「おかしさ、おろかしさ」そしてもちろん改めて「けなげさ」もわかってくる。勤勉であること、向上心を持つことが悪いことだというのではない。

挫折と死に向かう自分の姿を知る中年以後になるとこうした複雑な心理は理解できるようになる。それより前の人間はどこか若さを頼んで思い上がっているから長い視点も持ち得ないし自分のいる位置もわからない。人間の重層性もとうてい読めないし、心の揺れ動く陰影も見つけられない。』

 

こんな一節もあり、気に入っています。

 

『かつては自分を傷つける凶器だと感じた運命を、自分を育てる肥料だったとさえ認識できる強さを持つのが、中年以後である。』